日本福祉文化学会

 『福祉文化実践学会賞』

 『福祉文化実践報告集』に掲載された「報告」「小論」および学会誌『福祉文化研究』に掲載された「論文」「研究ノート」「現場実践論」等、さらには、本学会の会員で前年度までに行った福祉文化実践活動の中から最も優れた現場実践やボランティア活動等に対して「福祉文化実践学会賞」を授与します。授与式は総会の席上で行い、「賞」として賞状を、「副賞」として金5万円を授与し、広くその栄誉を称えるものとします。規定

 

     
   第8回福祉文化実践学会賞(2012年)
 「特定非営利活動法人マイハート・インターナショナル」
(代表 熊木正則 氏)

【推薦理由】
 特定非営利活動法人マイハート・インターナショナルは、様々な障害のある人の美術作品展である「福祉MY HEART展」を1986年から継続して開催している団体である。
 スタート当時、福祉施設職員であった、現代表理事である熊木正則氏が、施設で描かれた芸術作品の発表の場を作りたいとの思いからこの美術展は始まった。熊木氏は施設での発表ではなく、公立の美術館での美術展開催にこだわり、数々の困難を乗り越え、青梅市立美術館での美術展開催にこぎ着けた。以来、20年以上にわたり、途中何度かの中断の危機を乗り越えて今年23回目を迎えることになる。
 その途中で、熊木氏自身がフランスの養護学校との交流があったことをきっかけにフランスからも作品が出展され、2007年には、同展20回を記念して、フランス・トゥール市で開催された。また2008年には、中国・上海での開催も実現。
 今年もフランス、中国からの出展も加え、計85点の作品が展示される。
 その美術展の開催趣旨は次の通りである。
1.心身障害児者の美術活動を、広く一般の人びとに理解してもらうことを目的とする。
2.心身障害児者の美術制作活動の向上に寄与し、心身障害者が作品に自信と誇りと喜びを持つことを目的とする。
3.心身障害児者が美術表現活動を通して、芸術・文化面からの社会参加、文化創造、国際交流への可能性を追求していくことを目的とする。

出品参加した重症心身障害児者療護入所施設の生活指導員は次のように話しています。
『私たちの施設のような重症心身障害児者の入所施設で寝たきりになっている人たちは、これまで美術館に
入ったこともなければ美術館で作品を見たこともないんです。ましてや自分たちの描いた作品が美術館に展示されることなんて想像もつきませんでした。(中略)この美術展には、入所者の作品参加と同時にバス外出という私たちにとっては大きな経験と喜びがあります。』




 
   第7回福祉文化実践学会賞(2011年)
「芸術教育研究所・東京おもちゃ美術館・
 NPO法人日本グッド・トイ委員会関連グループ」


<推薦理由>
 芸術教育研究所をはじめとする関連グループは、赤ちゃんからお年寄りまでの多世代に豊かな出番と楽しみを提供(例えば、遊びを通して物づくりの喜びを子どもたちに伝えようとしている、やりたいことを探す青少年の手助けをしようとしている、大人たちがもっと楽しく子どもと遊べる手伝いをしようとしている、シニアが子どもたちのために活躍できるチャンスを提供しようとしている、豊かな文化を生み出そうとしている人から全ての人の自己実現が可能となる社会を作り出そうとする人々まで共に学びあう場作りを目指そうとしている、等)するなど、日頃から芸術文化・福祉文化・遊び文化を融合するような幅広い社会的福祉文化実践や活動を行ってきている。
 これらの福祉文化実践活動は日本福祉文化学会内外で高い評価を受けてきている。しかも今年度は、特に、3月11日に発生した東日本大震災の被災地の人たち(子どもたち、大人たち、お年寄りたち)に、「あそび支援隊」を組織し、「おもちゃセット」を車に積んで岩手、宮城、福島各県の避難所を巡回し、子どもからお年寄りまでに多くの喜びとエネルギーを提供してきた。今後も継続した巡回活動を予定しており、被災地支援活動のモデルの一つと言っても過言ではない。
 日本福祉文化学会では、この度、学会としての「震災支援方針」をまとめるために「震災支援対策委員会」を立ち上げたが、同関連グループの「あそび支援隊」等の取り組みとその経験は今後の学会としての「震災支援方針」にも大きな影響を与えていってくれるものと思われる。
 したがって、日本福祉文化学会は、今年度最も優れた団体として「芸術教育研究所・東京おもちゃ美術館・NPO法人日本グッド・トイ委員会関連グループ」を推薦し、同関連グループがこれまでに行ってきた福祉文化活動と震災支援活動を称えると共に、今後の日本福祉文化学会「震災支援方針」強化の礎になっていただくことを期待し、ここに「福祉文化実践学会賞」を贈っていただくよう要請するものである。

    


 
   第6回福祉文化実践学会賞
 「社会福祉法人 小羊会」

<推薦理由>
 当方人の創設者の一人、長谷川郁子氏は、滋賀県近江八幡市において、30年前に保育事業を始め、25年前(昭和60年)には「社会福祉法人 小羊会」となりました。その後介護事業も展開し、現在では2保育園、5介護施設を運営しています。当初より事業運営をされてきた長谷川郁子氏、マーレー寛子氏は、いずれも本学会の長年の会員です。
 とりわけ、マーレー氏は理事の要職にも就かれ、企画委員会の活動に尽力されています。マーレー氏は、平安女学院大学准教授として教育・研究にも携わっていたこともあり、福祉文化の実践と研究の融合について会員の学習・啓発の機会づくりをされています。また、特にレクリエーション分野において、本学会の著作や各地の大会・セミナーで実践の紹介や課題提起をされています。
 当法人は、古くからある保育園と介護施設による幼老統合ケアや、琵琶湖内の島での幼老統合ケア、町中にある民家の活用による地域に溶け込んだ介護事業、選択制の講座・レクリエーション活動など、ユニークな実践を展開されています。
 また、ボランティアや職員に多様な人材を活用されています。いずれも、今後多くの地域・施設に波及していくであろう先進的な福祉文化実践と言えます。
 事業開始から30年の節目にあたり、当法人の実践を評価・顕彰したく学会賞に推薦いたします。


 
   第5回福祉文化実践学会賞
 「静岡福祉文化を考える会」

<推薦理由>
 「静岡福祉文化を考える会」は平成8年3月に静岡県浜松市の社会福祉法人遠江学園において開催された、第10回日本福祉文化学会「福祉文化現場セミナー」をきっかけに発足した会である。
 『福祉文化』という新しい考え方の上に、豊かに生活を創造することをめざして、世代や環境・領域を超えて実践し語り合う機会を持ちながら活動を進めている。発足当初は福祉に関係のない会社員も多くあり、異業種交流とも言うべき会員同士が、それぞれの立場で福祉文化とはなにかを理解しあうことで会を発展させた。(現在は20代から70代の会員38名が登録)
 機関紙「OURLIFE」を有効なコミュニケーションの場とし会員相互の理解と広く県民への福祉文化啓発の場として発行を続けている。
 また、会員相互の合宿セミナーや公開型研修会を開催するなど、福祉文化をもとに世代を超えて福祉文化を大いに語り合っている。平成14年には静岡県裾野市に於て「第13回日本福祉文化学会大会」を開催し全国へ向けて静岡発の福祉文化の創造を発信した。また、静岡福祉文化を考える会の実践活動が13年間継続されており、静岡に福祉文化を定着させている活動と功績は顕著なものがある。
 福祉を取り巻く状況が大変厳しい中、福祉文化の共有を静岡県の地域特性を踏まえて、生活全般にわたる活動に展開していることから、平成21年度福祉文化学会実践学会賞の受賞団体として推薦するものです。


 

第4回福祉文化実践学会賞
「青葉園」

※この取り組みについての詳細は『福祉文化研究』第17号の清水明彦「一人ひとりの存在の価値〜障害者自立支援法を超えて〜」をお読みください。
この取り組みは兵庫県西宮市社会福祉協議会によって運営される重度障害者の地域生活支援に関わるものである。本学会との関連で言えば、第15回全国大会(兵庫大会)の際に清水氏には報告をいただいており、また実践福祉文化シリーズ第2巻『障害者と福祉文化』にも清水氏による報告が掲載されている。

 ここではこの取り組みが福祉文化実践学会賞に値する活動であることを、以前本学会研究企画委員会での検討で出された「福祉文化活動の要素要件」である「出番」「文化」「生きがい」「共生」「創造的普遍的」というキーワードを元に考えていきたい。

 まずこの取り組みは、地域に住む重度障害者が、地域住民活動に積極的に参入し、継続的に地域住民との交流を図りながら、地域における「出番」を保障している。具体的には地元公民館で定期的に行われている「青葉のつどい」、地域サークル「ぺったんこ」などである。

 そしてこうした活動を行うためには、プログラムの個別化と連携かが欠かせない。そこで青葉園では「個人総合計画」と呼ばれる「本人の計画」に基づいて、プログラムを策定、活動を進めていく。その結果、本人の自立意識も高まり、なおかつ様々なサービスを作り出しながら、地域において重度の障害者でも自立して生活できるシステムを構築してきている。グループホームである「あおば生活ホーム」、介護支援組織「NPOかめのすけ」、地域生活を支える市内事業所・団体・機関のネットワーク「すすめるネット」、市内の相談支援事業者のネットワーク「障害者あんしん相談窓口連絡会」などである。これらは西宮市にしかない独自のシステムであり、まさしく「創造的」かつ「普遍的」価値を持つ取り組みといえる。もちろんその過程で、地域との「共生」のシステムが作られ、また本人たちの地域で生き生きと暮らしたいという想いを実現し、「生きがい」を保障している。さらには地域の方々と連携しながら地域活動を行うことで、地域に新たな価値・「文化」を創造しつつある。

 しかもこの取り組みは、1981年から継続的に取り組まれており、「継続性」という観点からも評価に値する。


第3回福祉文化実践学会賞
「わかりやすいけいかくづくりいいんかい」(東京都国立市)

※なお活動の詳細については、遠藤美貴「東京都国立市『わかりやすいけいかくづくりいいんかい』が発信するもの〜地域保健福祉計画わかりやすい版の作成を通して〜」(『福祉文化実践報告集第2号』所収)及び遠藤美貴「知的障害をもつ人の政策立案への参加・参画を可能にする支援のあり方に関する一考察 〜国立市第三次地域保健福祉計画策定過程の実態から〜」(『福祉文化研究』第16号所収)をご覧ください。
 地域に住む障害のある人が、自分たちの地域の「地域保健福祉計画」策定に参画するだけでなく、それを自分たちにとってわかりやすくしていく作業を行っている。この過程はまさしく「出番」を保障していく取り組みである。策定委員に障害当事者が参加する例は他にもあるが、さらにそれを自分たちにとってわかりやすく、当事者自身が取り組んでいるところに価値があると思われる。 「文化」という点においても、昨今の障害のある人たちの活動の中でよくいわれる「自分たちのことは自分たちで決める」(Nothing about us ,without us)をまさしく実践している点で、貴重な取り組みである。国立という障害のある人が地域で生活することに積極的に取り組んでいる地域において、こうした新しい「文化」が根付き、さらに全国に広がっていくきっかけになる可能性を秘めている先進的事例である。
 また「共生」という視点においても、障害のある人が地域で暮らしていくために、自分たちの思いをこの計画に盛り込み、それをわかりやすく作り替えていく作業を通して、様々な価値観を持った人が地域で暮らすためのひとつのステップになっていくものと思われる。
 さらにはこの取り組みに関わった障害の人たちにとって、この取り組みは非常に大変でつらい体験でもあったが、やはり「生きがい」につながるものであったろうし、全国的に見ても、他に例がないという点において「創造的であり、もちろん「普遍的」価値をもった取り組みでもある。
 さらには5つのキーワード以外の視点においても、例えばこの取り組みは、国立市の計画策定に対する「思想・理念」「取り組む姿勢」「リーダーシップ」「支援体制」を背景に、公(官)・民協働(collaboration)が実現されている点、また、当事者参加としても、計画策定への参画という、高い自己実現、生きがい充足度へつながる参加で、いわゆるソーシャルインクルージョン(排除される人のいない社会、排除される人をつくらない社会)を実現している。


第2回福祉文化実践学会賞
「NPO法人音楽の砦」
第2回福祉文化実践学会賞受賞:NPO法人音楽の砦松原さま

2005年度から設けられた「福祉文化実践学会賞」は、様々な地域で行われている福祉文化実践について、特に優れているものを表彰し、「福祉文化実践」のより大きな発展を願うものです。第2回福祉文化実践学会賞は、「福祉文化実践学会賞規定」に基づき、2006年6月の理事会での審議の結果、「NPO法人音楽の砦」に決まりました。その表彰式と代表の松原徹さんによるミニスピーチが、さいたま大会閉会セレモニーの際に行われました。

 その中で松原さんは「音楽の持つ力は偉大である。今後もNPO法人の活動を通して、その音楽の持つ力をいかんなく発揮しながら、地域づくりや青少年の育成、お年寄りの生きがい活動に取り組んでいきたい」と述べられました。今後のさらなる発展を期待しています。


第1回福祉文化実践学会賞
「新潟福祉文化を考える会」

 これまでの新潟県各地域でのセミナーの実施、そして草の根からの福祉文化理念の普及活動が評価され、栄えある第1回目の受賞となりました。新潟中越地震を乗り越えての大会開催時の受賞に、会場の皆さんも思わずホロリ。

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