新・福祉文化シリーズあらすじを紹介します。(一部抜粋あり)  


    福祉文化とは何か (新・福祉文化シリーズ1)

 今なお「福祉文化」という概念がよくわからないため、何を拠り所に学会活動を行ったら良いのかがわからないという声が多くの会員から聞こえてくる。これは、日本福祉文化学会が、「福祉文化活動の魅力」を会員各位へ伝え、会員として一緒に歩んでいってもらおうとするための「術」(研究・実践の融合とその方法)を持ち合わせていないからだと考えられる。そこで、今般、「新・福祉文化シリ−ズ」(全5巻)の編纂を通して、「福祉文化とは何か」を見出していくための作業に取り組み、「福祉文化」概念を確立することは困難でも「福祉文化活動」に対する会員各位の思いを通して、「福祉文化とは何か」を整理していこうと考えた。
 日本福祉文化学会は、他の学会とは「何かが違う」と感じることのできるユニ−クな学会である。私たちはこの「何かが違う」という魅力に取りつかれて今日まで来た。  
 しかし、残念ながら、私たちは自信を持ってこの「違う何か」を語れる(言語化)できるまでには至っていない。そこで、シリ−ズ第1巻では、理事各位にじっくり「福祉文化活動の魅力」を語っていただき、他の学会とは「違う何か」を見出す努力をしていこうと考えた。時代の流れやニ−ズに適った新しい動きや体制づくりを模索していく努力やそのプロセスの中で、「福祉文化活動」に関する「魅力ある何か」を引き出し語っていただこうという趣向である。日本福祉文化学会の中心メンバ−が、どんな考え方に基づき、どんな魅力ある実践を行っているのかを、限られた字数を通してではあるが伝えていきたいと思う。会員を始めとする読者各位が本書を手にとって読み、考え、こんな魅力のある意義ある活動ならぜひ一緒に考えやってみたいと思っていただけたら幸いである。
 「福祉文化活動の魅力」は、何と言っても、「福祉文化活動」そのものの「楽しさ」、「現場の力」を発見できる「面白さ」、「経験」を「共有」(「負の遺産」を通しても「正の遺産」を通しても)することによって得られる「心の遺産」ともなる。この「心の遺産」を具体的な「福祉文化の心」として会員相互に共有し、社会とも共有していく必要がある。そのための努力をしていく必要がある。
 そのためには、「福祉文化とは何か」を倫理的に整理しておく必要がある。そのための「原則」や「価値」「枠組み」を提示しておく必要もある。その際基本となるのは、「すべての人が隔てなく、差別されることなく、多様性こそを認めあい、独自の価値観や生活様式に互いに誇りをもち、尊厳と自由の中で生きる権利を有し、意思決定への参加と、社会参加の成果を享受することができるようにすること。そのために、福祉の積極的な実りとしての文化を育み、さらに深い味わいのある文化を創り出していく」という「多元主義的福祉文化」観である。したがって、「福祉文化」概念とは、「多元的共生福祉文化社会」構築を目指す概念と言える。
 日本福祉文化学会の中枢を担う人たちが語る「福祉文化活動の魅力」に心躍らせ、楽しみにしながら、本書の扉を開きたいと思う。


日本福祉文化学会 会長 河東田  博
    アクティビティ実践とQOLの向上 (新・福祉文化シリーズ2)

 オ−ストラリアに滞在することがあり、このような国では、福祉というものが日本とは違っているに違いないと、障害者や高齢者の活動現場を探索して見ました。すると、1981年の国際障害者年の翌年に発行されたガイドラインに従い、ユニバ−サルデザインがスキ−やキャンプなどの野外活動施設にも及んでいるのです。垂直になっているのが当然だと思っていたプ−ルの壁面が、車椅子のままでも入れるように、斜面になっています。いろんな場面に障害者が参加することを想定しているのです。これこそが福祉文化だと思いました。高齢者施設でも驚かされました。髪の毛をきれいにセットしている女性に聞くと、1週間に1度は、若い頃から通いなれた街中の美容院に、日本で言う介護保険の経費で連れて行ってもらえるというのです。旅行はもちろん、競馬でもカジノでも本人が望むなら、公的な経費で当然支援可能だといいます。
 戦後、日本社会で国家の責任で福祉というものが制度化された背景には、憲法第25条の「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という文言があります。国民の生活権は国家によって保障されたのです。しかし、この「最低限度の」という言葉が曲者であり、例えば施設の入浴介助についても「1週間に2回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ」とかいてあれば、2回しか入浴させないというのが、一般的な運営です。また、介護保険ができる以前の措置時代は言うまでもなく、介護保険でもそれ以上の人員配置ができる経費を行政が施設に保障していないというのが現状でしょう。しかし、オ−ストラリア的な発想であれば、(中略)最低限度の生活の保障より優先して、したいことをもっとわがままに主張して、自分の生きがいを見つけ、自己実現を図ってもいいはずです。「わがまま」という言葉は、現在の日本では否定的に捉えがちですが、私はそれがある種の「豊かさ」の象徴だと思うのです。
 潜在化しているニ−ズを顕在化させるために、きちんと自己主張できるということが、福祉の現場でも尊重されなければならないはずです。(中略)そんなことを考えながら、福祉対象者の新しい生き方を求めるための試みを紹介し、福祉文化という思想をよりたくさんの人に理解してもらうことが、この本の出版の意図です。
 たとえば、認知症高齢者キャンプ。豊かな自然の中で、マンツ−マンのケア体制を作って、高齢者がのびのびと楽しい体験をしています。(中略)この本では、福祉文化という視点から見ると意義深いけれど、日本社会の共通理解になっていないために、特別な事例に留まっているものをたくさんルポしていただきました。その普及のためには、組織づくりと評価が大きなポイントになると私は思っています。
 ぜひ、福祉文化という考え方もあるのだということを、1人でもたくさんの方に理解していただければと願っています。

  編集代表 石田 易司

   新しい地域づくりと福祉文化 (新・福祉文化シリーズ3)


 しばらくお待ちください。

    災害と福祉文化 (新・福祉文化シリーズ4)


 しばらくお待ちください。

   福祉文化学の源流と前進(新・福祉文化シリーズ5)


 しばらくお待ちください。


出版物のページに戻る