日本福祉文化学会

日本福祉文化学会大会



  第27 回日本福祉文化学会全国大会東京大会報告
『東京大会を終えて』 大会実行員長:月田みづえ

 第27回日本福祉文化学会全国大会東京大会を多様化する“家族”がひらく未来―ふくし・文化・地域の視点から―をテーマに平成28年10月22日(土)と23日(日)、東京立正短期大学で開催した。天候に恵まれ、老いも若きも大勢が集う、学びの秋にふさわしい、2日間となった。
 東京都杉並区の妙法寺の参道につながる閑静な住宅地にある会場は、歴史の重みを感じる講堂での講演を含め、わきあいあいと楽しんで学ぶ人々の歓喜にあふれていた。
 大会1日目のオプショナルツアー『有吉佐和子と杉並区堀ノ内』では、学芸員の西方ゆり恵氏の案内で、有吉文学が生まれた背景に触れる体験をした。佐和子は、この地を舞台に『恍惚の人』を描いたという。
 大会開始、会長、大会実行委員長あいさつに続き、飯田俊明氏のピアノソロ演奏で開幕。参加者が選んだ音で、即興の曲を奏でるエキサイティングな内容であった。午後の5つの交流分科会では、子どもの居場所や育つ地域文化の創造、異世代交流、造形遊びワークショップ、戦中・戦後の家族と福祉文化など熱い議論が時を忘れて続いた。懇親会は、近くのピザレストランで、区内の障害者施設職員のバンド演奏で盛り上がるなか、全国からの会員や翌日報告する韓国の招聘者などが交流のひと時を過ごした。





 2日目は、会員総会の後、3つの部会(子どもの福祉と文化、地域における福祉と文化、障がい者・患者を取り巻く文化)で、学会ならではの研究課題が提起され、学びを深めた。一方、研究委員会企画:福祉文化研究への招待(ワークショップ)では、学会の研究・実践を発展・リードする議論が展開された。
 午後の演奏プログラムでは、あまり知られていないヴィヴァルディの孤児院における福祉・教育・文化実践を学び、古楽器による演奏で心があらわれた。大森美香氏による特別講演:家族にとっての幸せ―NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」脚本執筆を通して見えてきたこと―では、作品を作るなかで家族のあり方を問い、ひとり一人が特性を生かしていきいきと生きていくために大事なことが語られ、聴衆の感動をさそった。シンポジウム:多様化する“家族“がひらく未来―”ふつう“ってなに?は、弁護士・母子生活支援施設長・行政書士のパネリストが性的マイノリティーなど多様な家族も増え、誰もが生きやすい社会への提案をした。心身ともに刺激的な2日間であった。

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福祉文化実践学会賞「加藤美枝氏」が受賞 選考委員会委員長 永山 誠

 加藤氏は40歳代の民生児童委員活動に始まり、介護保険制度発足前後に世田谷区保健福祉審議会区民委員等を歴任、98年の第2回日韓福祉文化国際会議の世田谷開催の実行委員長を務めた。
その間世田谷区老人大学(現生涯大学)の講師を20年間務め、退任後は修了生と共に「高齢者の力を子育ちに、子どもの力を高齢者の生きがいに」をモットーに「ひこばえ広場」や老老ケアと異世代交流を目指す住民主体型地域デイ「たまご=他孫の家」を組織、先駆的にコミュニティ活動を展開している。



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第1交流分科会「子どもをとりまく諸問題と居場所づくり」
 
報告:川北典子

話題提供者から、商店会による地域の活性化、子ども食堂を始めとする地域での子ども・子育て支援活動、東京および気仙沼での冒険遊び場を核とした子どもの居場所づくりについて、実践的な報告を伺いました。
その後、参加者を交えての質疑応答・意見交換等を行いましたが、参加者の活動分野もさまざまで、話題は現代の子どもをめぐる社会環境・地域環境、親子関係、福祉的ニーズなど多岐にわたりました。
現代の子どもをとりまく状況は深刻ですが、一人ひとりの住民が少しの気づきを得ることで、支援の輪を広げていけるのではないかと確認し、有意義な情報交換の場となりました。



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第2交流分科会「子どもが育つ地域環境」
 報告:前嶋元

 杉並区立こども発達センター所長 村一浩氏からは、「センターにおける子育て支援の一環としての発達支援、公・民・学が協力した地域発達支援体制について」、杉並区立西荻南児童館館長 戸澤正行氏からは、「20年前より区内のすべての児童館で実施してきた『地域子育てネットワーク事業』という地域ぐるみの子育て環境づくりについて」、荒川区スクールソーシャルワーカー山田恵子氏からは、「ワーカーとしての活動を通して見えてきたスクールソーシャルワークと子育て環境づくりとの深いつながり、実践を整理していく意義について」お話いただいた。
 その後、すべての参加者から意見をいただき、多様な視点と共通基盤の確認ができたように感じる。



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第3交流分科会 「異世代交流とこれからのコミュニティづくり」報告:加藤 美枝

はじめに絵本『ピースブック』(トッド・パール作//童心社)を映し「へいわってなあに」のリズムと色彩をめでつつ、初代会長の「平和なくして福祉なし」に熱い思いを馳せた。
世田谷区は本年度から介護予防・日常生活支援総合事業の1つとして住民主体型のデイサービスを始めた。
その1つ「たまご(他孫)の家」の実践報告があり、休憩の後、参加の方々と意見交換を行った。
参加者は大学関係者、県社協の方、施設勤務の方、高齢者総合相談の方、地域交流サロンを始めた理学療法士、病院勤務から福祉機関の仕事に転じた理学療法士、事業準備中の鍼灸師でカウンセラーの7名。
たまごの家からは事例報告者の応援にデイ利用者の91歳になる男性ほか6名が参加した。



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第4交流分科会 造形遊びワークショップ「親子でともに遊べる場づくり」 報告:薗田碩哉

 このワークショップは造形遊びの指導者・矢生秀仁氏(子ども環境デザイン研究所)が、地域の親子を集めた造形遊びの場を楽しく展開する場面に、学会参加者が参加してその様子を観察シートに記入し、それを踏まえて意見交換をするという組み立てだった。
 子どもたちはどの子も画用紙や段ボールの小片や紙コップなどの素材にあっという間に飛びつき、思い思いのモノづくりを始めた。
 他方親たちはさまざまで、黙って見守る親、子どものやりたいことを援助する親、子どもと一緒に作る親もいた。
意見交換では、造形遊びが持っている「自分を見つける」力を改めて認識し、親や指導者は子どもに教えるというスタンスではなく、形づくりを通して子どもとコミュニケーションを図ること―それも言葉を介してではなく、モノや動作を通じて伝え合う―の重要性を確認した。



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第5交流分科会「戦争をとおして戦中・戦後の家族と福祉文化を考える」報告:結城俊哉

 本分科会では、立教大学の浅井春夫先生を話題提供者としてお招きし、「沖縄戦」と呼ばれる人災であり反(非)福祉的行為である「戦争」が家族にもたらした悲劇として、戦争孤児たちの戦後の社会的処遇の問題点をはじめ、戦時中、国家の為の兵士養成の「男らしさ」をめぐるジェンダー論、さらに、近年、日本の社会状況における子ども・若者の貧困と経済的徴兵制への危惧について貴重なお話を伺うことができました。
 戦後71年目の今年、日本が抱える象徴的な社会問題として戦争と福祉文化を考える契機となる警鐘を鳴らして頂くことができたとても有意義な交流分科会でした。



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研究委員会ワークショップ「文化の眼鏡で作るフレームワ-ク」 報告:薗田碩哉

 福祉文化研究とは、福祉現場を文化の眼鏡で見直し、課題を発見して、その解決を目指すこと、という考え方を土台に、研究プラン作りに挑戦した。
 はじめに薗田碩哉(学会顧問)が、福祉文化研究は「福祉文化の研究」ではなく「福祉の文化研究」だという総論を述べ、ついで「対象」「活動の場」「文化の視点」の3つの切り口で意見交換をした。
「対象」では、高齢者/幼児・子ども/マイノリティ/障害者の4つのコーナーが作られ、参加者はそのどれかを選んで集まり、意見交換。「場」では学校・職場/施設/地域/家庭、「視点」では、理想の文化/文化的特色/遊びとアート/文化批判のそれぞれ4つのコーナーが設けられた。
 参加者はコーナー選びをもとに自分の「研究ストーリー」を考えて発表し合った。希望者には研究委員会が今後もアドバイスを続けることが伝えられた。



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特別講演
「家族にとっての幸せ-NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」脚本執筆を通して見えてきたこと-」

報告:中島 智

 脚本家・演出家の大森美香氏による講演では、脚本家の仕事について紹介があった後、「あさが来た」が出来るまでのエピソードを脚本の現物を示してお話いただいた。
実業家で日本初の女子大学設立に尽力した広岡浅子をモデルに、夫婦や姉妹といった家族の姿を通して、あさの物語が描かれた。
 理想の家族像を求めるよりも、各人各様の生き方を見つけることを提案され、講演は終了した。
脚本執筆を終えて、旦那と娘の支えに感謝したい、とのことばに、参加した東京立正短期大学の学生たちは、「相手を思いやることが大事だと思った」「小さいことを見逃さずに「ありがとう」と言いたい」といった感想を寄せていた。
作品にもご自身の生き方にも「支え合う家族」を紡いでいこうとする大森氏の思いに、参加者は大きな感銘を受けていた。



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シンポジウム 報告:阿比留久美

 シンポジウムでは、弁護士の志摩勇さんからは親族による高齢者の財産の囲い込み(経済的虐待)の現状、母子生活支援施設施設長の森菊世さんからは施設で暮らす母子の事例の紹介と現状、ゲイ当事者で行政書士の永易至文さんからはLGBTが直面する「暮らし・お金・老後」の問題に対応する制度設計についてお話いただいた。
 異なる職種・分野の方のお話であったが、既存の「家族」枠組みのもつ限界が通底しており、「家族」以外の制度を活用した生活の立て直しや生活設計の可能性も示された。
 ライフスタイルや家族のかたちが多様化する中での新たな「家族」のかたちも提示され、シンポジウムタイトルにふさわしい充実した議論がなされた。



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2016年度日本福祉文化学会会員総会 報告:前嶋元

 10月23日(日)午前、東京大会会場である東京立正短期大学において標記総会が開催された。
協議事項として「2015年度事業報告」「2015年度収支決算書及び監査報告」「2017年度事業方針(案)」「2017年度予算書(案)」を審議し、原案で可決された。
 報告事項として「2016年度 第12回 福祉文化実践学会賞の選考結果について」「2016年度前期事業報告と後期事業予定」「2016年度 予算執行見込み」「会員状況に関する報告」「2016年度第28回大会について」が行われた。
多くの会員の方々にご出席いただき、ありがとうございました。


 
 
  第27回日本福祉文化学会全国大会東京大会(東京立正短期大学)

多様化する“家族”がひらく未来 -ふくし・文化・地域の視点から-

開催日:2016年10月22(土)・23(日)
会場 :東京立正短期大学


第一日目 平成 28 年 10 月 22 日(土)
10:00~12:00 【オプショナルツアー】
   「有吉佐和子と杉並区堀ノ内」(東京立正短期大学 正門前集合)
13:00 受付
13:30 【オープニングセレモニー】
    ・学会長挨拶 馬場 清
    ・大会長挨拶 月田 みづえ
14:00~14:15 休憩・移動
14:15~17:00 【交流分科会】
    ①子どもをとりまく諸問題と居場所づくり(地域文化の創造)
    ②子どもが育つ地域環境(研究と実践の融合)
    ③異世代交流とこれからのコミュニティーづくり
    ④造形遊びワークショップ-「親子でともに遊べる場づくり」
    ⑤戦争をとおして戦中・戦後の家族と福祉文化を考える
17:30~19:00 交流会

第二日目 平成 28 年 10 月 23 日(日)
9:00~ 9:50 会員総会
10:00~11:50 【研究発表】
         【研究委員会企画】文化の眼鏡で作るフレームワーク:
         福祉文化研究への招待(ワークショップ)
11:50~12:40 休憩
12:40~13:20【演奏プログラム】ヴィヴァルディと福祉・文化
13:20~13:30 休憩
13:30~14:30【特別講演】東京立正短期大学 50 周年記念公開講座
     ・主催者挨拶 東京立正短期大学学長 工藤 教和
     ・講演:家族にとっての幸せ―NHK 朝の連続テレビ小説「あさが来た」
      脚本執筆を通して見えてきたこと― 脚本家 大森美香
14:30~14:40 休憩
14:40~16:40【シンポジウム】多様化する“家族”がひらく未来
16:40~16:45 休憩
16:45~17:00 【クロージングセレモニー】(福祉文化学会実践賞表彰含む)

主催 :日本福祉文化学会 共催:東京立正短期大学
後援 :杉並区、杉並区教育委員会、杉並区社会福祉協議会、妙法寺門前通り商店会
2016日本福祉文化学会東京大会第二次チラシ

2016日本福祉文化学会東京大会パンフレットチラシ ←交流分科会詳細はこちらをクリック☆


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【事前申込締切】2016年10月11日(火)
【入金締め切り】2016年10月14日(金)
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名義 : 日本福祉文化学会 記号 10100 番号 51821721

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名義 : 日本福祉文化学会
[店名]〇一八(ゼロイチハチ)[店番]018[預金種目]普通預金[口座番号]5182172

※年会費のお振込み先と異なりますのでご注意願います。
※懇親会参加費は4,500円です。送付パンフレット申込書の金額4,000円は誤っておりますのでご注意願います。

《参加申し込みお願い》
参加予定の方で、事前申込・入金を済まされていない方がおられましたら、申込・入金期限が延期されましたので、
事前申込を促していただければ幸いです。

     日本福祉文化学会東京大会申込書【PDF版】
     日本福祉文化学会東京大会申込書【WORD版】

2016日本福祉文化学会東京大会自由研究発表様式 
 研究発表申込締切:9月11日(日)
     日本福祉文化学会東京大会自由研究発表申込書【PDF版】
     日本福祉文化学会東京大会自由研究発表申込書【WORD版】

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【お問い合わせ】
  日本福祉文化学会東京大会事務局(担当:前嶋)
   メール:fbt_2016@yahoo.co.jp Fax : 029-896-9389


 
   全国大会神戸大会が無事に終了
大会概要及び感謝の言葉 実行委員長:小坂享子

 10月24日(土)・25(日)の二日間、兵庫県立美術館および兵庫県福祉センターで、第26回全国大会神戸大会が、大会テーマを「地域文化から福祉をみる-大震災後20年の神戸から-」として開催された。このテーマは、20年前に手探り状態で始まった復興の軌跡を検証し、それを東日本大震災をはじめとする他の災害にも繋げようとの目的で設定された。
 講演やシンポジウムでは、様々な視点から20年の復興の軌跡が語られた。防災教育をテーマにした講演では、防災について、かえって子ども達から教えられたとの報告があった。つまり、災害があるから防災に取り組むというより、守りたい大切な人が地域にいてその人を守るための活動こそが防災であるということに防災教育を通じて気づかされたという報告であった。一方、シンポジウムでは、震災の経験を通して、我々は地域で助け合わなければならないということを知ったが、20年経って神戸の地域は変わったか、助け合いの文化は地域に根付いたかと考えると、残念ながら変わっているとは思えない、という意見が出された。また、指示待ちボランティアをこしらえてしまって、行政や社協の枠を超えていく主体的なボランティアが育っていないところに今のボランティアの課題がみられるという指摘がされた。我々は震災復興の教訓を今に活かし切れていないということが確認できたこと、そしてそこから今後の課題がみえたことが本大会の意義であったように思う。
 二日間を通して、特別講演、シンポジウム、「人と防災未来センター」見学、懇親会、総会、交流分科会、委員会企画、研究発表が行われ、すべて無事終了した。本学会の全国大会も四半世紀を超えて毎年開催され、歴史の重みを感じるようになってきた。その歴史のなかで、第26回としての神戸大会が一つのステージを担うことができ安堵の気持ちでいっぱいである。参加して下さった皆様、関係者の方々、本当にありがとうございました。

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特別講演「地域でつくるぼうさい文化」‐『ぼうさい甲子園』の取り組みから‐

地域のみんなと一緒に助かりたいという思いを行動に移すにあたって、住民主体で地域を巻き込んでの様々な取組みがあること、その意識の高まり、多くのアイディア、地道な努力の必要などについて、あの「釜石の奇跡」と呼ばれた成功経験、「ぼうさい甲子園」での取り組みなど様々な情報から多くの学びを頂いた講演であった。
講師であるNPO法人さくらネットの河田のどかさんは報告者と同じ歳(20代!)であるが、驚くほどしっかりとした説得的な語りであり、さくらネットの活動への強い思いと誇りが感じられた。地域において人と人が繋がっていくことで形成される「ぼうさい文化」はまさに「福祉文化」に通ずるものであると実感できる講演であった。
報告者:篠原拓也

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シンポジウム
コ-デイネーターの石田先生と、シンポジストの村井氏、中村氏は、ボランテイア活動を通じて震災以降ずっとお付き合いをされているとの事。あうんの呼吸と、関西人ならではの笑いと活気につつまれた、中身の濃いシンポジウムでした。
震災当時の神戸は本当に深刻な状況でしたが、自ら被災しながらも地域で活動され、地域住民の潜在力をぐんぐん引き出し、新たな絆を構築されたシンポジストのお話は、圧巻でした。震災の現場を、「地域がエンパワーメントされる場所」へと転換されたのだと感じました。石田先生の笑顔とお二人のお人柄がにじみ出た、暖かいムードの中で、これからの福祉実践のためのヒントを、たくさんいただきました。
報告者:北尾亜由子

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「人と防災未来センター」見学  

神戸大会のプログラムの一貫で久々に訪館する事が出来た。
私自身20年前西宮で被災をしたが1.17シアターでは地震破壊の恐ろしさを再び体感し、震災ホールでは神戸の街が復興に至るまでの映像を眺め、ふと涙が流れてしまった。震災経験のない会員にも貴重な体験となったと思う。
復興に至るまでの道程は長く苦しいものだ。だが神戸が震災から根気強く復興したプロセスこそ文化だと感じ、後世に広く伝える必要性を改めて感じた。
報告者:市田響

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第1交流分科会
~地域が育つ 生きる力をつどい場が支えきる-とりもどしたあたりまえの最期-~
     
丸尾多重子さんこと“まるちゃん”は、「つどい場」を、誰もが集え、しゃべる、泣ける、笑える、学べる、出かける等々まさに「生きる場」だという。
両親・兄を看取ったまるちゃんは「ヘルパー講座」の実習で、人を人とも思わない介護の場面に遭遇し、その怒りが「つどい場」誕生の源となった。
駅、市役所、社会福祉協議会に近い、そして家賃が安い、それが条件だった。活動は「つどい場」「おでかけタイ」「学びタイ」「見守りタイ」が柱である。分科会ではTV局が「つどい場さくらちゃん」の活動を収録したDVDを放映した。奇しくも生き切ることを支えた「つどい場」を目の当たりにした参加者は深い感銘を受け、「新しい看取りの姿」「地域、個々人が育つ大切さ」「本来の介護のあり方」等々、思いのたけをまるちゃんと共有した。「つどい場」「施設」「我が家」それぞれが「心安らぐ場」に創りあげるのは私達であることを学べる場となった。 

報告者:岡村ヒロ子


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第2交流分科会 「遊びとレクリエーションから見た福祉文化」

「遊びとレクリエーションから見た福祉文化~地域を元気にする福祉レクリエーションムーブメント」をテーマに、日本のレクリエーションムーブメントを牽引し実践・研究を進めてきた石田易司氏とマーレー寛子氏を迎え、福祉レクリエーションの未来について参加者と共に考えた。
石田氏からは、1990年代に始めた地域ボランティア力を活かした認知症高齢者キャンプの事例や、オーストラリアの障がいがあっても余暇を楽しめる地域社会づくりの事例など、制度を超えた新しい試みの可能性がいっぱいのレクリエーションが、新しい福祉文化の大切なカギになると提言があった。
マーレー氏は、セラピューティックレクリエーションを学ぶため渡米し体験した障がい者・高齢者のキャンプからの学びや、「むべの里」の地域行政と連携した取組み事例から、介護保険制度の中で地域と共に展開できる可能性を模索しつつ、「楽しむことが出来る」ということの重要性を語った。
その後参加者からの感想や質問を聴き、活発な意見交換がなされた。

報告者:田島栄文


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第3交流分科会 「『ともに生きる』をつくり出す地域力 そのパワーの源と展開」

地域福祉活動のこれからは、専門性、協働性、世代交流など、支えられ、支え合う広範なネットワークが求められる。
この分科会では、多様な活動を住民、専門家、NPOなど、広範なネットワークで展開する地域活動の仕掛けを学びました。
 地域力の創造とは何がポイントか、そのパワーの源はどこにあり、どの様に展開していけばよいのか・・・現場の声を共有したいと思います。
パネラー: 岸和田市 「リビング ほしがおか」 代表 原口正彰 さん
         東住吉区 NPO法人「ハートフレンド」 代表理事 徳谷章子 さん
コーディネーター: 大阪府社会福祉協議会 地域福祉部長 片岡哲司 さん
全体進行: 関西社協コミュニティワーカー協会 会長 髙橋俊行さん(寝屋川市社会福祉協議会)


報告①: リビング ほしがおか 
「一人を大切に、安心とふれあの町づくり ~顔の見える福祉活動の実践~」
平成20年、大阪府の福祉事業「ふれあいハウジング」から、「リビングほしがおか」を設立。地域
福祉活動の拠点として町会、町会各種団体と相互に連携を図り、自助・共助・公助による地域協働型福祉活動の充実発展を進める。
活動内容:
高齢者の買い物を支援する「朝市ほしがおか」の開催(2008年6月~、毎日曜)、「ふれあい喫
茶」~いきいきサロン~の開催(週4回)、老人クラブのさまざまな趣味の会、作品展、ふれあい訪問~小地域ネットワーク活動~、いきいき相談広場(毎月第2水曜)、カラオケ広場(毎日曜)、折り紙教室(毎月第2日曜)、なごみ体操、美化大作戦、七夕笹飾り、お助けネット・スターポイント「わくわくチケット」、防災講座、災害時要援護者登録「あんしんカード」、災害対策委員会のキャッチフレーズ「『いざ』よりも『日々』が大切 防災は自助と共助の心から」。2014年「第40回産経市民の社会福祉賞」受賞

報告②: NPO法人「ハートフレンド」
    「地域総がかりの子育てを 子どもが主人公の居場所づくり」
地域の小学校側面の仮設消防署の移転に伴い、その建物を子ども達の活動拠点として大阪
市に要望。2003年「桑津こどもの家 ハートフレンド」開設。図書寄贈、備品は地域住民の寄付。2006年法人化。2013年、新拠点(民家の改修)に移転。「乳幼児親子から高齢者までがつながる福祉の拠点づくり」を推進。2007年度「第1回 よみうり子育て応援団大賞」受賞、2010年度 子ども若者育成・子育て支援功労者表彰「内閣府特命担当大臣賞」受賞
活動内容:
 「こどものてらこや」(月曜~金曜・午後4時~6時、小学1~6年生)、「あそびスクール(不登
校の子どもの居場所)」(月曜午後6時半~7時半)、清掃・探検クラブ、ジュニア・リーダークラブ、文化部、4つのひろば(ハート広場、ふれんど広場、龍華おやこのひろば、平野おやこの広場=行政の地域子育て支援拠点事業受託)、地域で子育て(夜間あずかり、子育てフォーラムの開催)、「おとなのてらこや」(認知症防止・介護予防)、東住吉区キャッチ&フォロー事業(発達障がいがある子どもの早期発見・早期療育)、児童発達支援等ディサービス(平成24年度2月1日~)。

 全体を通して:
 リビングほしがおかは、団地の自治会をベースとした活動で、ハートフレンドは、NPO法人としての活動展開です。しかし、共通する2つの側面があります。一つは、両者とも広範な地域組織とのネットワークを大切にし、社会資源を縦横無尽に駆使しておられること。もう一つは、事業の一つずつは、どちらかといえば先駆的な事業ではないが、さまざまな事業を多角的に展開しているということ。この二つが大きなパワーの源となっているといえる。
ネットワークの広さは、多様な社会資源と結びつき、1+1は2には収まらないというよく言われる言辞ではあるが、実行することは容易なことではない。また多彩な事業の展開は、多様な住民を包括しているということにつながる。一人ひとりのニーズに合わせた対応ができるということは、一人ひとりが安心して生活できるということである。その展開のパワーは大切なことだが、さらに利用者のパワーをつくり出すことにつながる。まさに「生きる力を育くむ」ということである。
広範なネットワークも、多彩な事業展開も人と人のつながりが動脈である。まさにともに生きるをつくり出しているのである。それが地域の力として、陸続と人の流れを生み出している。人がつながりはじめるという起動は決してたやすいことではないが、お二人の報告者は、それを営々と実践してこられた。一人の信じる力が、多くの住民に伝播して、今日の安心して住める地域となっている。一人のパワーと、伝播していくパワー、そして展開し続ける持続力。その方程式を鑑みる交流分科会であった。

報告者:脇坂博史

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第4交流分科会 「災害と福祉文化」―1.17あの日から始まったこと
 20年目の1.17を間近にした神戸。あの日から今日までの阪神間の出来事を、3人のパネラーに語ってもらった。
保育園園長の池川正也さんは、市役所近くの保育所での公務員の保護者の動きを中心に子どもの暮らしを、養護学校の教員だった福井喜章さんは、災害時の障がい児たちの困難とその後の特別支援教育を、当時災害ボランティア支援団体のスタッフで現在大学職員の益田博さんからは、緊急時の災害ボランティアの活動と大学ができる災害支援の可能性を語っていただいた。
表面的には短期間で成し遂げられたように見える神戸の復興と多様な住民の幸せが必ずしも一致していないという話が印象的だった。

報告者:藤原一秀

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第5交流分科会・委員会企画
「地域で子どもを育むということ」

パネリストに朱まり子氏(子育ての文化研究所代表・NPO法人山科醍醐こどものひろば元理事長)を迎え、その活動の報告を中心に、地域での子育てをめぐる現状について意見や情報を交わしました。
伝統的な子育ての文化の良いところを、現代の社会のなかで子育て中の世代にどのように伝えていけばよいのか、また、子育て支援に携わる者に必要な配慮とは何かなど、実例に基づいた説明を聞き、考えを深めることができました。参加者は少なかったのですが、その分、オープンな話し合いができ有意義な時間を持つことができたのではないかと思います。         

報告者:川北典子


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特別講演2
「あの時高校生だった私が落語家に そして一席」
 阪神淡路大震災当時、高校生だった落語家の桂福丸さんが、東灘区の自宅で経験した地震の瞬間やその直後のこと、数週間過ごした避難所の様子などをお話しくださった。
 つらい避難生活の中で、妹さんの笑顔に救われたという経験から、「笑顔の大切さを伝えたい」と落語家になられた福丸さん。
 被害の程度によってのいざこざ、大きな被災を免れたものの、避難所や遺体安置所にもなった母校のこと、大人たちの行動や対応の様子を見て感じたことなど、実体験に基づいたお話は心に響き、災害の中での他人とのかかわり方や、自分のあり方などについて考えさせられた。 なお、「一席」のお題は「時うどん」であった。

報告者:大江緑

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研究発表一覧
研究発表者と発表題目を下記PDFにて掲載します。
taikai_kobe_kenkyuuhappyou_ALL.pdf へのリンク
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「沖縄福祉文化を考える会」に―「福祉文化実践賞」授与式―

「福祉文化実践学会賞」の推薦は3件ありました。慎重審議の結果、「沖縄福祉文化を考える会」に決定しました。推薦理由は以下の通りです。
*「沖縄福祉文化を考える会」の25年間の活動経過
「沖縄福祉文化を考える会」は1991年、福祉事業や文化活動に関わる10名の会員ではじまりました。会則によると「①沖縄における福祉文化を考えるとともに、福祉文化について研究し、実践活動を進める、②日本福祉文化学会との連携を密にし、同会の主催する事業に積極的に参加する」ことを目的としています。10人程度で出発し、毎月第3土曜日を定例活動日とし、年間計画のもとづき各種の学習・実践活動を25年間も継続してきました。
活動の視点は「福祉と平和」におかれてきたといいます。沖縄は第二次大戦時、日本国土で唯一の地上戦を体験し、かつそれは非戦闘員である民間の女性や子どもまで狩り出され戦闘になり、何万人もの民間人が犠牲になるという想像を絶する体験をもち、未だに遺骨がみつからない方もいるからです。
日常の取組みを振り返ると、介護老人福祉施設や身体障害者施設の訪問・交流、ボランティア活動、健康づくりで薬草園訪問、国頭村森のおもちゃ美術館訪問、反戦歌「さとうきび畑」歌碑訪問、戦争体験者の話を聞く会等です。他に、琉球文化がどう根づいたかを、島ことば、わらべ歌で考える勉強会、車社会がもたらす公害問題、高齢者・障害者の移動手段の確保問題、沖縄戦で壊滅した軽便鉄道の復活、路面電車や新交通システムの提案などの取り組みも行ってきました。
さらに日本福祉文化学会との連携では、「平和の礎」が建立された1995年に現場セミナー、2001年も「長寿社会を支えるもの」と題し地元の歴史家、郷土
料理研究家を招いた現場セミナーを開催しました。
*25年間の取組の特徴
「沖縄福祉文化を考える会」の25年におよぶ活動の特徴は、沖縄の長い歴史を視野に入れ地域生活の視点から、日常の暮らしに根差した福祉問題や生活課題を取り上げて取り組んできた点にあると思われます。比較的小回りのきく規模での自主活動で、25年も継続されました。これを可能とした理由は地域の歴史をふまえ生活の要望と課題をとりあげて実践し、研究し、提案する自主的な交流であったたからだと思います。
「沖縄福祉文化を考える会」のこの取り組みは、これからの福祉文化の領域における活動や研究を進めるうえで有益なヒントを含むと思われます。以上の理由で2015年度の福祉文化実践賞を授与することを決定しました。なお授与式は神戸大会2日目に行われました。                    

報告者:「福祉文化実践学会賞」選考委員会委員長 永山 誠



 
   日本福祉文化学会理事・評議員の皆様ならびに学会員の皆様

  神戸大会は、9月30日(水)で大会申込みが一旦、締め切られました。
 当日申込みも受付ますが、 10月16日(金)まで申し込みを延長し皆様を
 お待ちしております。よろしくお願い致します。

  尚、神戸のホテルの予約が難しい場合は、大阪、明石などをお考え下さい。
 それぞれ30分以内で神戸に到着致します。

 では、皆様と神戸でお会いできることを楽しみにしております。

                        神戸大会実行委員長の 小坂享子
 
 
 
  第26回日本福祉文化学会全国大会(神戸大会)のご案内
大会テーマ 地域文化から福祉をみる -大震災後20年の神戸から-

期日:2015年10月24日(土)25日(日)
会場:兵庫県立美術館、人と防災未来センター 他

*■をクリックするとページが切り替わります
■要項 
■大会参加申込書 
■自由研究発表申込書 
■自由研究発表レジュメ様式

■開催チラシ(PDFファイル)


 
  第25回日本福祉文化学会全国大会(大分大会)を終えて
                報告者:大会実行委員長 雨宮洋子

第25回日本福祉文化学会大分大会は、10月4日、5日の二日間別府市のビーコンプラザを会場に「認知症を受けとめる」~福祉と文化の見地から~をテーマとして開催された。
台風の恐怖にさらされながらの学会開催となったが250名の参加者が集い有意義な大会を催す事ができた事に参加者はじめ今回の大会に協力頂いた皆様に感謝でいっぱいである。
今回は、認知症を受けとめ、認知症の人が尊厳のある一人の人として生きることを支えるために私たちがすべきことは何かをあらためて皆様とともに考えてみたいとの思いから私が生涯のテーマとして取り組んでいる「認知症」に焦点をあて大会に臨んだ。
私が施設を開設した昭和61年には認知症の問題は一部の人の病気であり誰もがかかりうる病気ではないとされていた。それから30年近く経った今日では長寿社会になればなるほど自分に降りかかってくる問題となった。これからの認知症ケアは、より専門性の高い医療、ケアの実践、研究が期待されている。しかし、その一方で、認知症の人への虐待や権利侵害が繰り返されるなど、看過できない課題が山積しているのも事実である。
二日間を通して特別講演、基調講演、5か所での交流分科会、4か所での研究発表、委員会企画、鼎談に参加し認知症になっても「豊かに」「楽しく」「有意義」に利用者中心に最後のステージを迎えることができることへの前向きな方向性が見えてきたように思える学会であった。
はるばる九州の地に足を運んで頂いた多くの方々に感謝でいっぱいである。この学会で得た多くのつぼみが各々のこれからの研究に、実践において花開くことを願って学会を終えた。


●基調講演「文化の眼鏡」で福祉を視る:薗田碩哉
研究委員会「よもやまゼミ」での2年にわたる論議を踏まえて、薗田碩哉顧問が「福祉と文化が出会う時~‘文化’の眼鏡で福祉を観る」と題して今後の研究の方向について問題提起を行った。福祉文化研究は「福祉文化」の研究ではなくて、福祉の「文化研究」であるべきだとして、福祉を見直すために4種類の「文化の眼鏡」(視点)を紹介した。それらは①価値志向の眼鏡、② 福祉領域の特色が見える眼鏡、③「遊び」やアートを見つけ出す眼鏡、
④福祉実践の背後に働いている力を見つめる眼鏡であり、これらを組み合わせて問題や課題を発見し、解決策やあるべき方向を探って行くこと、それが福祉文化研究のあるべき姿だと力説された。

特別講演(報告者:河東田博)
日本福祉文化学会に参加すると元気になって帰ることができる。そのことを証明してくれたのが、今回の大分大会だったように思う。そして、具体的にそのことを教えてくれたのが、特別講演「心の健康?仏心は歌心」であり、講師の勝光寺南慧昭住職であった。南住職は、弟「南こうせつ」よりも歌がうまいと自認しているそうである。確かに声量豊かであった。「サラリーマンを定年退職してから曹洞宗の修行を積んだ」異色の住職でもあった。「人に対する思いやりや有り難うの一言を言える強さを持とうと歌で呼びかけ」「悩める人達の心にほっとする時空を与えよう」と活動をしている住職でもあった。余計な説明は省き特別講演の感想を一言で記すと、「楽しかった」あるいは「温かい気持ちになれた」ということになるだろう。自ら作詞・作曲した歌は情感たっぷりであり、歌と歌との合間の解説を聴いて歌の内容がさらに実感できた。参加者と共に歌うことによって、会場に一体感が生まれた。日本福祉文化学会、いや大分大会ならばこそ心豊かになれた特別講演だった。

                            
交流分科会
第1交流会『音楽』認知症と楽しむ音楽 (報告者:志賀俊紀)
 第1交流分科会はギターレレ(小さくて素敵なギター)の奏でる無伴奏の演奏から始まった。講師の山下一郎さんは幼い時からギターに親しみそれが今日に至ったという経歴をお持ちの人であった。しかもアドリブ入りの「認知症と楽しむ音楽」の講座は、老人施設におけるコミュニケーションの導入の部分に、一捻りの工夫があり重要なポイントを示された。
 音楽を媒体とした「療法」は、自然と心を開き、心を通わせる作用に大きく役立つことを示唆すると共に、音楽療法の有用性は老若男女、年齢、施設種別を問わず実践が試みられ体系化され福祉施設においても導入されている。そして「新たな福祉」のキーワードとして、しかも認知症の人の余命の時間を命の尊厳に配慮しながら、福祉文化的視点に立脚した山下さんの活動は、即戦力のある施設処遇技術の向上に寄与するものであると改めてその実践に期待をしたい。


第2交流分科会『回想法』~「ミッケルアート」~(報告者:五十嵐真一)
 ミッケルアートは、「いつでもどこでも、誰でも回想療法ができるツールで、クイズ性を持たせた昔懐かしい絵画を使うことで、介護職員や高齢者同士の会話を弾ませ、高齢者の真のニーズを引き出していくコミュニケーションツールである。」(ミッケルアートHPから)
 具体的には、誰もが知っている昔のお茶の間や井戸端会議、教室の風景など日本の生活の伝統的な風習を題材とした絵画(アート)です。見た人は、一緒に見ている人とこの絵について自分の心の引き出しの奥にある記憶を引っ張り出し、思わずそれについて語りだしたくなります。また、これらの絵の中に色々な動物や道具類の絵を隠し絵的にちりばめること(ミッケルクイズ)で、これらの会話の要素となるものが色々な人の様々な興味関心(記憶)に呼びかけると共に「動物は何匹いますか?」などのクイズ形式にすることによって、見た人の注意や観察力、見当識などをより刺激する工夫を凝らしているものとなっています。また、世代の違う介護職員と高齢者との会話を助けるなど介護現場のコミュニケーションを円滑にして、参加者の脳を活性化し、認知症の行動・心理障害(BPSD)を抑制する効果が実証されている様子も報告されました。ミッケルアートの「ミッケル」は、「見っける」の意であり、高齢者が失いかけている記憶や希望を見つけていくものとなっている事がわかりました。  (当日配布された資料からの引用有)


第3交流分科会 『文化』ふろしき文化(報告者:福山正和)
高齢者に親しみのある「ふろしき」を使うことで、コミュニケーションも拡がり、指や手を使うことでの脳トレにもつながるということを体験した。講師の小菅氏より高校生が考えたというペットボトルをズボンのベルトループから下げる使用法をはじめ、防災グッズとしての使用法、荷物を運ぶためだけではなく、生活を彩る飾りとしての使用法を体験し、昔から伝わる使用方法だけでなく、工夫で新たな使い方が出てくることを学んだ。1枚のふろしきをたった2つの結び方で様々な形、用途に変化させることができる。ふろしきを通し、創意工夫することで新しきものを生み出し、生活を豊かにすることを再認識できる分科会であった。


第4交流分科会 『美』認知症になってもきれいでいたい(報告者:矢野実千代) 
フランスでユマニチュードという患者さんと向かい合う接し方が認知症や病気の治癒に効果を出している。
日本はおもてなしの精神を道徳として当たり前のことに戻すことがイノベーションになる。
社会の在り方までも巻き込み、偶然の幸運に出会うことを気づきとして、捉えアクションを起こす時である。
観念的にサービスを義務的に行って「する側もされる側」もマンネリ化して歓びを失っている。
いつも、今ここにベストを尽くし、周囲への自然な愛(和)のもとに、自分らしい自己を生きぬくことが人間として生きる意味を全うする。
脳は新しいことが大好きである。新しいことに出会うとドーパミンが出てくる。新しい自分の顔(化粧療法)に出会うことで希望をもって生きることができる。
<鏡を見ない人は希望をなくし病を招くことになる。>
常に脳は不確実なことが好きである。(脳科学者茂木健一郎)
固定観念で行うサービスは感動のないプログラムにすぎないのである。
まずは医療福祉に携わる女性自身に、自分のために自らが心地よいこと、自分を大切にする。そして、改めて使命に立ち返る事ができる。
「美」は羊が大きいと書き、すべてを捧げ世の人のためになる事を美しいといいます。


第5交流分科会 「地域文化と福祉の創造」(報告者:多田千尋) 
 連続企画の6回目を迎え、九州地区より3実践が寄せられた。
 1つ目は、おもちゃを生活道具として活用し、子どもの生きる力、考える力、人と関わる力を育む支援を通して、地域で子どもの成長を見守り、文化を継承する小児看護学の専門家による活動。
 2つ目は、リハビリに作品展参加や大会出場などの具体的な目標を設け、社会参加することによって、生きがいを見出し、人生を再創造する作業療法士による活動。
 最後に、「地域の誰もが立ち寄れる施設」を目指し、双方向の地域交流を展開する社会福祉法人による幼老統合ケア、認知症支援などを通した福祉文化活動。
 いずれも、自らが地域へ働きかけ、人と触れ合うことによって、新たな文化活動を目指す優れた実践に、多くの賛同の声が寄せられた。


実践学会賞 (報告者:石田易司)
今回の大会での実践学会賞は何と顧問の薗田碩哉さんに受賞していただいた。理論家として鳴らしている薗田さんだが、実は偉大な実践者でもあったのだ。
「子どもの遊びと発達」が彼の継続的なテーマで、ご自分で幼児園を運営されたり、NPO法人を作って遊びを展開されたり。そのさまざまな遊びの活動に対して、実践学会賞が贈られた。

●温かい懇親会
懇親会は地元色のにじみ出たいい会だった。トピックは何と言っても地元「大分宮川内」地域の人たちによる「ひょっとこ同好会」。そのお面の表情と動作の面白さが私たちを虜にした。それぞれの町には文化を伝える素晴らしい人々がおられることを、おいしいお酒や食事とともに、まさに実感した夜だった。


 研究発表;第1部会「住民活動と拠点づくり」(報告者 岡村ヒロ子)
第1部会「住民活動と拠点づくり」では、1.乳幼児期の「共助力」を育む親子の「居場所」のあり方 -地域子育て支援センターに注目して-(○松永愛子:目白大学、齋藤史夫:埼玉純真短期大学非常勤、有馬正史:NPO法人さわやか青少年センター) 2.NPO法人ふるさと長崎まごのての福祉文化研究 ~その1 経営理念の変遷~(○豊福和明:特定非営利活動法人ふるさと長崎、李震、日比野正巳) 3.NPO法人ふるさと長崎まごのての福祉文化研究 ~その2 バリア・フリー住環境と認知症高齢者の事例~(○李震:長崎純心大学、豊福和明、日比野正巳)の三題の研究発表があった。
<1題>新宿区の閉鎖された保育園を活かし、子育て中の母親達が中心となって立ち上げた親子の居場所「ゆったり~の」は開設10周年を迎えた公設民営の地域子育て支援センターである。本研究は、「ゆったり~の」が乳幼児期の「共助力」を育む可能性について深めた。子供に関する先行研究は少なく本研究は評価に値する。0歳児から2歳児までの乳幼児の遊ぶ姿を研究者自らが観察し、年齢による遊びの変化、子供同士・親子・親同士・親とスタッフ、それぞれの関わり方による乳幼児の変化を分析した。さらに「ゆったり~の」の環境だからこそできるようになったこと、「ゆったり~の」での乳幼児期の経験が就園にどういかされるかについて常連の親へアンケートを取り、両者の分析結果から、異なる年齢の乳幼児同士の遊び、親・スタッフの受容的・非管理的態度が乳幼児期の「共助力」を育むことにつながることが明らかとなった。
現代の子育ての環境は、親と子だけの小さな家族が多く、また隣人や地域との交流は希薄化している。子供の成長に大きく影響する対人関係を学ぶ場が少なく、親も子も孤立してしまう恐れは十分に考えられる。「ゆったり~の」は、現在、親子だけの居場所にとどまらず、地元のパン屋さんやベビーマッサージ等の様々なボランティアが訪れ、子育ての拠点として地域に根付いていることが報告された。 
<2題>
発表者の豊福氏が在住する長崎県佐世保市西天神は高齢化率が30%を超える。豊福氏は空き家になっていた木造のアパートを拠点に、子ども・障がい者(児)・高齢者・地域住民にとって住みやすい地域づくりをめざし、構想を練った。自治会長などの地域住民を巻き込んで討論を重ね、約1年半後、「NPO法人ふるさと長崎まごのて」としてスタートさせた。本発表は経営理念の変遷を福祉文化の視点からみている。豊福氏が日本福祉文化学会に出会ったことで経営理念を見直すきっかけとなり、設立当初の理念「幼老統合を通じて、少子高齢化も安全で安心できる『住みやすい地域づくり』に貢献します。」に、「そのために、福祉の目的である幸せを追求します」を加えた。「こころあったか」「ここにあったか」をスローガンに、朝、全員で経営理念を唱和し、実践に生かしている。また「経営理念」を、生活に、地域に根付かせるべく新たな「文化」として創造することを課題としている。
<3題>
 李氏の発表は、「まごのて」の福祉文化実践について三間法(空間・時間・人間)を用い、認知症高齢者Kさんの事例から明らかにした。空間面としてのバリア・フリー住環境については、子どもの様子が見え、声が聞こえる吹き抜け、庭につながる縁側、土いじりができる花園・農園等を設けた。これらのしつらえは昭和の時代を思わせ、利用者とりわけ認知症高齢者に昔の生活を蘇らせた。時間面ではKさんが、「まごのて」が多様に提供している文化活動の中から「くもん学習療法」に出会い、熱中することで、それが「生きがい」につながった。人間面では、「まごのて」利用前のKさんは他者に暴言を吐いたり,怒鳴ったりすることがしばしば見られたが、障がい児のA君を、孫を可愛がるように面倒をみることで暴言等が減ったという。今後、Kさんも含め、他の利用者の事例も増やすこと、さらに他施設の実践との比較に取り組むことを課題としている。
認知症高齢者は本研究にもあるように空間・時間・人間との関係障害が生活の混乱につながる。認知症の症状は百人百様である。Kさんの暴言の背景を詳細に分析すること、多くの事例を積み上げることが、地域の拠点としての「まごのて」の確固とした位置づけにつながっていくと思う。
 
<全体を通して>
 「ゆったり~の」「まごのて」共に、地域に眠っている資源に着目し、市民レベルで戦略的に新しい形のサポートシステムを創り上げている。公(行政)に頼らず、地域での生活課題は住民自らで解決するといううねりが生まれている。このような住民活動が多くの地域で根をおろすことは間近だろう。公(行政)は住民パワーにすべてを任せることなく、資金面・ハード面をサポートする等、協働していく姿勢をもっていただきたい。また、研究者は実践者としての住民活動の担い手と協同し、活動の助言者として方向性を支え、さらに活動の理論化を進めていくという役割を担う。市民・研究者・行政の三者がバランスのよいトライアングルを組むことで、住民活動が成熟していくのだと思う。

研究発表第3部会「ボランティア活動とこれからの可能性」 (報告者:石田易司)
大会運営委員会ではせっかくテーマを合わせていただいて、福祉文化におけるボランティア活動というものに興味を持つ方に参加していただいたんだが、また、議論の時間も取っていただいたんだが、なんとなくバラバラの感じで、共通する筋がなかったので、議論になりにくかった。
しかし、一つひとつの発表はそれぞれ興味のもてるものだった。大学生のボランティア活動調査から小中高のボランティア学習への提言をする桃山学院大学石田易司、福山正和の発表、ボランティアと専門職の比較を理論的に研究した神戸学院大学小坂享子の発表、同じく神戸学院大学佐野光彦のバングラデシュにおける障害者支援の発表と、それぞれユニークなテーマでの専門分野での研究はボランティアが福祉文化活動の大切な担い手であることを示してくれた。対象も研究の手法も異なるテーマの発表だったので、なかなか共通点は見つけにくかったが、今後の大会でもこのテーマを継続することによって、深まりや共通点が見つけ出されるのではないかと思う。発表の4人の型に感謝したい。(座長石田、福山)

委員会企画 「研究と実践の融合」 (報告者:マーレー寛子)
当学会の特徴の一つである研究と実践の融合を推進していくために毎学会大会において開催してきている企画の一つとして今年度は、「認知症と福祉文化」の大会テーマのもと大分大学の三重野英子さんと別府市旭地域包括支援センター看護師の山本幸子さんがそれぞれの研究者と実践者の視点から議論された。
三重野さんは、「湯布院における認知症コーディネーター育成の実際」と題して、地域において職場や職種の枠を超えたケアネットワークづくりを中心的に担う人材育成の実施状況や研修評価について語られた。山本さんは、「認知症を地域で支える」というテーマで事例から見えてくる認知症予防の支援課題について発表された。
 昨年度から引き続き同じテーマで研究者と実践者が発表することにより、今年度は、活発なフロアからの質疑応答もあり、それぞれの内容を掘り下げて議論することができた。

シンポジウム「“我が”ままに今を生きる~新たな福祉実践の方向~」 (報告者:佐藤嗣道)
認知症を文化の眼鏡で見ると、どのように見えるのか。馬場清さん(研究委員会担当理事)から、よもやまゼミで企画したシンポジウムのねらいが紹介され、薗田碩哉さん(日本福祉文化学会顧問)の温かくユーモアを交えた進行で鼎談が行われた。お話しいただいたのは、雨宮洋子さん(社会福祉法人泰生会理事長)と藤川幸之助さん(詩人)。雨宮さんは、28年前に認知症の方の入所施設を設立された。それまで家の中に隠されていた方が入所しすぐに満室となった。現在は、介護が社会化される中で、戦後教育で育った“新人類”高齢者を介護する時代である。人権意識が高く言うことを聞かないことを認識し、個別性や文化を重視した住みよい暮らし・美しく生活できる場を提供することが課題である、と述べられた。藤川さんは、認知症になられた母親の介護を通じ、書かずにはおられないことを詩に表現してこられた。母を支えてあげると思っていたが、母との関係性の中で支えられ育てられ生かされてきたことに気づかされた。認知症を受け入れることで母子の絆の結び直しをしてくれた、そんな詩の数々を自らの朗読で紹介された。鼎談は、介護職員も詩を書くと客観視できてよいとの話に発展し、アートの力で福祉を見直すことの意義が示された。

 
     
 

 
 
  第25回 日本福祉文化学会全国大会大分大会案内   
   大会テーマ  認知症と福祉文化
         ~認知症に有効なアクティビティケア~


 少子・高齢化が進む中、今年度は日本の人口の25%、4人に1人が高齢者の占める割合になりました。高齢者の増加とともに認知症の人も年々増えてきています。
 第25回日本福祉文化学会全国大会では「認知症と福祉文化」をテーマに考えたいと思います。認知症の人たちが自分の生活の楽しみ、家庭や地域や職場などで多くの人と交流を図り、生活に張り合いや生きがいを持ち生活を豊かなものにしていけたらとの思いから「認知症に有効なアクティビティケア」を中心に実践者と研究者の報告、討論を交えていきたいと思っております。

 期日:2014年10月4日(土)・5日(日)
 会場:別府国際コンベンションセンター B-conプラザ(大分県別府市)


 ■ 大分大会チラシ(Word)
 ■ 大会要綱_参加申込書
 ■ 研究発表募集要項 

【大分大会会費】
日本福祉文化学会会員の方 3,000円  一般の方 3,500円
懇親会費 4,800円
 懇親会も飲み放題で大分特産のとり天、団子汁等を用意いたします。沢山の参加をお待ちいたしております。

【宿泊について】
懇親会を行うホテルサンバリー様より、宿泊者特別料金の提供をしていただきました。
事務局および実行委員会ではとりまとめを行っておりませんので、宿泊予約の際には
「10月4日の日本福祉文化学会で宿泊したいのですが。」とお伝えください。
客室数に限りがございますので、早めの予約お願いします。
7/8情報! ホテルサンバリーの残り客室数は10室となっておりますのでお早めに
予約をお願いいたします。


*10月4日宿泊者特別料金
ホテルサンバリー 大分県別府市石垣東10-2-33 TEL 0977-25-1171 FAX0977-21-6030
(シングル利用) 1泊朝食付き 5,040円(税込)

ホテルサンバリーアネックス 大分県別府市石垣東10-1-20 TEL 0977-26-6555 FAX0977-26-5530
(シングル利用) 1泊朝食付き 6,870円(税込)

ホテルサンバリー宿泊者も、朝食はホテルサンバリーアネックスでの和洋のバイキングになります。
詳細はホテルサンバリーホームページをご確認ください。
http://www.hotelsunvalley.com/



 
 
  第24回 日本福祉文化学会全国大会東京大会報告 
 
 
   日本福祉文化学会全国大会が終了!

大会の全体総括  大会実行委員長:島田治子

 9月28日、29日開催の第24回日本福祉文化学会全国大会東京大会は、無事、終了いたしました。1日目は108名、2日目は90名のご参加をいただき、登壇者・たくさんのボランティアの方々を含め、すべての参加者に御礼を申し上げます。
 今大会では「暮らしの中の福祉文化を問い直す」というテーマを掲げました。震災・放射能汚染による被災の真っただ中にある福島県飯舘村・菅野典雄村長の「経済より命」という重い言葉に心を揺さぶられた参加者は、オペラ歌手・村山岳さんの歌声に癒され、福祉文化の一端を体感できたのではないでしょうか。
 5つの交流分科会と研究発表会、及び2つの委員会企画、そしてパネルディスカッションの登壇者も含めて、多種多様な立場、考え方、生き方の方々にお話しいただきました。聞き手もそれぞれ違う場所に住み、異なる価値観を持って暮らし、異なる問題や課題に直面しているので、多様な選択肢があったのは自分の暮らしを見つめ直す上でも、他者の暮らしの問題に気づく上でも、良かったのではないでしょうか。
 当日、書いていただいたアンケート結果を見ても、それらのことが裏付けられています。「勉強になった」「参加してよかった」と多くの方が高い評価をして下さいましたし、部屋移動をせずに討論するという新しい試みについても否定的なご意見はありませんでした。若干のご批判も、学会をさらに良くするためのご意見と受け取れる温かい内容で、皆様の学会に寄せる熱い思いを強く感じました。
 「暮らし」というテーマは、一見、平易なようでいて、実は最も難しいテーマであったのではないかと、しみじみ感じています。今大会だけで問い直しが全てできるものでも、答えが出るものでもありませんから、今後も引き続き、それぞれの場で考え続けていかなければならないでしょう。


基調報告
 基調報告では、東京大会実行委員会事務局長の馬場清より、第20回記念大会(東京大会)からの学会の軌跡を追いながら、本大会の位置づけ、開催趣旨が述べられた。
 その中ではまず、最近の福祉文化学会の状況を3つの「衝撃」があったとしてとらえた。その3つの「衝撃」とは、①第20回東京大会の「衝撃」(研究誌第20号参照)②2011年東日本大震災の「衝撃」(研究誌第21号参照)③一番ヶ瀬元会長のご逝去という「衝撃」(研究誌第22号参照)の3つである。
 こうした中、会員数の減少など、学会は大きな転換期を迎えているが、だからこそ今、もう一度福祉文化の魅力を会員間で再確認し、そのことを考え、実践し、交流する場としての学会の活動を進めていくべきことが強調された。
 そのために新体制では、委員会活動を中心に、様々なことに取り組んできている。将来構想委員会は、今後の福祉文化学会のあり方を答申にまとめ、現場セミナー、ブロック活動の活性化とともに、全国大会の活性化を唱っている。本東京大会は、そのモデル、指針となるべく、実行委員会を中心に、プログラムを考えてきた。また研究委員会では、「福祉文化よもやまゼミナール」を発足させ、定期的に議論を進めてきた。そしてその中間報告を本大会で行うことになっている。また企画委員会では、研究と実践の融合、地域文化を生かした福祉文化実践の2つのプログラムを本大会でも行い、福祉文化学会ならではの取組を進めてきている。
 このようなことをふまえ、本東京大会では、「暮らしの中の福祉文化を問い直す」をテーマに2日間、参加者の方々と議論を深められるようなプログラムを組み立てた。その根底には、「人々の暮らしは本当に豊かになったのか」という問いかけがある。地震、津波、放射能汚染といった災禍をもたらした東日本大震災、過疎、過密、不況、グローバル化、公害、環境破壊などなど外的要因によって暮らしは大きく変えられた。また障害への偏見、差別、徹底した経済合理主義、効率主義、競争原理など私たちの内面にある考え方も、暮らしを大きく変えてきた。
 だからこそ今、豊かな暮らしを取り戻すためにどうしたらいいのか、考える必要がある。そして東京大会のすべてのプログラムから、そのことを考える上での大切な視点を学ぶことができるし、そういう観点から2日間の大会を感じてもらいたい。
 一番ヶ瀬元会長はよく、福祉文化は人権文化と同義であると述べられていた。暮らしが破壊され、人権保障から遠ざけられている人びとにこそ光をあて、その豊かな暮らしの実現を人権のひとつとしてしっかりと位置づけ、それが獲得されていく過程を学びあい、共有し、自らの生き方や地域づくりに生かしていく。そんな大会になることを望んでいる。


特別講演 『までいライフ』で求めた豊かな暮らしの今を語る
 今から14年前、すばらしい地域づくりの実践から学ぶことをテーマに、福祉文化現場セミナーが行われた福島県飯舘村。その「までい」の村づくりが、放射能によって、破壊され、村民は今なお全村避難を強いられている。その村から、菅野典雄村長に来ていただき、「『までいライフ』で求めた豊かな暮らしの今を語る」をテーマに、話を聞いた。
 現代を、明治維新、敗戦に続く「第3の転換期」と考える菅野氏は、これからは「バランスの時代」であると主張する。そして効率一辺倒、「お金の世界」からの脱却をめざして、「ていねいに」「心をこめて」「手間暇惜しまず」といった意味の「までい」ということばを村づくりの基本に据えてきた。そして福祉文化学会としては、まさに現場セミナーにおいて、その村づくりのすばらしさを目の当たりにしてきたのである。
 しかし「3.11」は、「までいライフ」を目指したそれまでの村づくりを全面的に破壊した。そして菅野村長は、原発による被害は、他の災害とはまったく異なる質をもっていると主張する。それは住民の健康被害、環境破壊はもちろんのこと、人々のつながりを分断したことによる。
 だから今こそ、「バランス感覚」を磨き、まずは「ゼロ」、つまり「3.11」の前のレベルに向かって、不安と戦いながら、「いのちを大切にする暮らし」を目指してやっていかなければならないと話された。「数で数えられる豊かさ」はまさしく「足し算の暮らし」。つまりものをどれだけ増やすか、お金をどれだけ儲けられるかを大切にする。しかしこれからは「数で数えられない豊かさ」、つまり人々のつながりを大切にし、自分だけでなく他人を思いやり、みんながいきいきと楽しく過ごせる暮らしを「引き算」の考え方で実現していくべきであり、それこそが成熟社会の目指すべきところであると話された。
 話を聞いて、原発被害、全村避難というまったく想定されなかった事態においても、まったくぶれない村づくりの思想に感激した。もちろん一つ一つの場面での決断は難しく、大変で、様々なところからの非難や誹謗中傷は絶えることがなかったと思われるが、常にそこには「までい」の考え方を大切にするという「ものさし」があったような気がした。
 村は除染も進まず、現段階ではまったく帰村のめどが立っていない。しかし菅野村長の力強いことばを聞いて、これからも飯舘村の行く末をきちんと見守っていくことが大切であるとともに、その村づくりの哲学を私たちの暮らしの再構築にも役立てていくことが必要であると実感した。
 


特別公演「~共に~ 被災地復興への願いを込めて」
 オペラ歌手村山岳氏は、特別公演の余韻(心地良さ)を胸に、翌日一人ウイーンに飛んだ。世界の人たちに音楽の心と被災地復興への願いを伝えるために。
 彼は、2011年3月11日以降、全国各地で行ってきた被災地支援チャリティコンサートの収益金約100万円を当学会に惜しげもなく寄付してくれた。その彼に、昨年春、被災地気仙沼に行く車中で再会した。再会時、いち早く今年の東京大会での特別公演を依頼した。その願いが叶い、彼を東京大会の特別ゲストとして招くことができた。
 特別公演で彼の歌声に聴き入った聴衆は、皆、酔いしれた。特別講演の福島県飯舘村菅野村長の話とマッチしただけでなく、彼の被災地復興への思いが伝わったからであろう。
 そのため、多くの聴衆が「感動し、涙が出て来た」という感想を寄せて下さった。
 音楽の心と被災地復興への願いを伝えるために、彼は今も世界各国を飛び回り、多くの人たちに彼の思いを届けていることだろう。
 


交流分科会
第1交流分科会「災害支援と福祉文化」
 福島県飯館村菅野典雄村長の特別講演を受けて、飯舘村高橋雅彦健康福祉課福祉係長と中井田多美子やまゆり保育所所長のお二人をパネリストに、原発爆発後の村から避難している村民の生活を伺うこと、そして、私たちに何ができるのかを目的に、分科会を行った。
 村長のいる打ち合わせの場では全く無口で一言もしゃべらなかった高橋係長が、本番では能弁で、避難した高齢者や障害者の実態をわかりやすく話してくれて、役場の職員の大変さがよくわかった。しかし、それは行政依存だなど、指定討論者岡村ヒロ子理事と藤原一秀会員からの質門、会場のみなさんの意見など、活発に交流ができた。当時の状況を描写した「避難弱者」(東洋経済)を勧めます。


第2交流分科会 「地域文化と福祉の創造」
 福祉と地域文化の融合を目指す分科会は、5回目を迎え、関東圏から3実践が寄せられた。
 1つ目は、わらべうたを通して、住民が独自の生活文化を掘り起こし、世代間交流で共有、伝承し、より強いコミュニティづくりを目指す活動。
 2つ目は、かつての奥会津の暮らしを、子どもたちがお年寄りから「聞き書き」し、地域の生活文化を浮かび上がらせることにより、奥会津文化を次の世代へつなぐ活動。
 最後に、東京の妙正寺川流域での染色業を復活させ、染色関連業と商店会、町会という既存の組織と住民をつなぎ直し、新しい形の共同体を築く活動。
 いずれも、地域の文化を掘り起こし、今の時代に合う形での活用を目指す、すぐれた実践であった。


第3交流分科会「楽しみの福祉文化」
会場いっぱいの参加者で熱気あふれる会となり、福祉現場での「楽しみ」や「遊び」の現実とあるべき方向を考えた。「盛り上がるレク」だけでいいのか、ただの遊びになっていないかという高橋紀子氏の問題提起から入り、楽しみどころでない現場の厳しい状況が中野ひとみ氏から語られた。「楽しんでこそ人が変わって行く」という方向で議論が進み、松沼記代氏はレクリエーションを介護のシステムに入れることの必要性を主張し、佐藤喜成氏は「権利としてのレク」の視点を打ち出した。フロアからもレクやアクティビティの定着と拡大を図ることの大切さが交々語られ、効果を明確にしてエビデンスを発信することや専門職の確立を目指すことなどが確認された。


第4交流分科会「ユニバーサルデザインと人々の暮らし―高齢者や障がいを持つ人たちも満足する衣服に近づくために―」
講師 渡辺聰子(山野美容芸術短期大学名誉教授 株式会社リラ・ヴォーグ代表取締役)コーディネーター 森山政与志(一級建築士 新潟医療福祉大学・非常勤講師)・塩田公子(大宮ろう学園教諭) 高齢者・障がい者とともに生活を含めた衣服について考え、2年前に会社を設立し、新しいファッションスタイルを提案している渡辺氏のお話を伺いながら、製作した服を見せていただいた。講演後、衣服を実践的に考えるために、意見交換の場を設けた。参加者全員から質問や意見等があり、具体的な内容が積極的に話合われた。

第5交流分科会 「マイノリティと現代社会」

 第5交流分科会では、小沼一弥さん(株式会社サンユー湘南寮)、冨田祐さん(社会福祉法人創プロップ)、相田あづささん(社会福祉法人皆の郷第3いもの子作業所)の3人の知的障害を持つ当事者の方々に、会社や作業所で「働く」ことへの思いを語っていただいた。また、当事者の方には報告をしていただくだけでなく、司会進行役もつとめていただいたため、仲間同士の丁々発止のやりとりがなされながら、分科会は進んでいった。
 3人の報告者の方からは、仕事の話のみならず、趣味や本人活動のこと、社会や周囲に対する要望、大切にしていることなど、幅広い報告がなされ、「働く」ことは「暮らし」の一部として他の要素と切り離して考えることはできないことがあらためて浮かび上がってきた。
 会場からは多くの質問が寄せられたが、質疑応答からはみんながやさしい社会になってほしいという思いや、自分で使える空間や時間をもちたい、自由に暮らしていきたいという思いが述べられ、障害の有無にかかわらず、生きやすい社会や望ましい暮らし方には共通する事柄が多いことが確認された。
 よい職員とはどのような職員か、という質問に対して、報告者の一人からは「そんなことは自分で考えることであり、いちいち答えを求めるからおかしいことになるのだ」という一言が返された。この返答からは、「障害者」も「健常者」も自分がどのようになっていきたいのか相手におもねるのではなく、自分自身で試行錯誤しながら進んでいかなければならないことが示されており、会場の参加者に対して大きな宿題が投げかけられたように感じた。


総会 2014年度 日本福祉文化学会事業方針
1.福祉文化研究の新たな展開
2.ブロック活動・委員会の組織的運営と会員参加活動の促進
3.災害支援のための研究および実践活動の継続的推進
4.福祉文化現場セミナーの継続と充実
5.国際交流福祉文化活動の取り組みの強化
  留学生会員や昨年関係した交流セミナーの継続的取り組みによる交流の強化促進
6.新役員体制へのすみやかな移行と新企画への意欲的な取り組み
7.全国大会・会員総会の開催と内容の充実
 第25回全国大会別府大会の開催 
 2014年10月4日(土)5日(日) 会場:別府市・泰生の里
 以上の事業を支える予算は総額431万円余。現在の会員数は356名団体会員10団体。
 学会のすべての活動は会員の皆さまからの会費で支えられています。会費の納入にご協力下さい。



研究発表

政策・法律と福祉文化
 第3分科会では、3人の発表者から、制度や政策について、内容が異なるそれぞれの分野から問題提起がなされました。
 最初の草薙眞由美さんの「介護福祉士候補者と日本社会」では、経済連携協定(EPA)によるインドネシアやフィリッピン、ベトナムからの介護福祉士候補者について、これまでの経緯や介護福祉士試験の合格者の35人中の11人が帰国している現状などについて説明、これまでに公開されている情報の分析ならびにインドネシアの候補者に対するアンケートの結果の分析を発表、さらに「公的機関による支援だけでなく周囲の者の配慮が重要」と問題提起がありました。
 次の李京真さんの「性売買防止法と自立支援政策における現状と課題~韓国と日本の政策比較を中心に~」では、韓国も日本も「売買春問題は個人・倫理的な問題」としている点では共通しているものの、売買春に対する取り組みの方向性や自立支援システムなどが異なっていることを説明、日本について「(当事者が)行政処分の対象者として扱われる限り当事者支援には限界がある。」と指摘、根本的には国民全体の意識の醸成が必要であることなどの問題提起がありました。
最後の斎藤史夫さんの「子どもの福祉文化と児童館-児童福祉の理念と『児童館ガイドライン』-」では、“すべての子ども”という児童憲章や児童福祉法の理念の実践現場である児童遊園や児童館の減少傾向についての危惧、2011年に策定された「児童館ガイドライン」への期待、さらに放課後対策がややもすると学校中心主義の傾向が強められていることなどの問題点を指摘、「地域の福祉化」「福祉の文化化」などの福祉文化の視点からの問題提起がありました。
 以上の3人の発表者の発表の後で、会場に参加している方々も含めた討議会に入りましたが、それぞれの発表の分野が異なることもあって、介護福祉士候補者についての現状、韓国も日本の売買春問題の現状、児童館の現状などをさらに理解するための質問が多くなり、残念ながら論議を深めるまでにはなりませんでした。
 3人の発表者の発表を拝聴して、さらに参加者の皆さんのお話をおうかがいして、結局は、法律や制度、政策などが整備されたとしても、社会の福祉文化の基盤がなければ、結局は法律や制度、政策などが有効に生きないことを、強く感じさせられました。

医療と福祉文化
 第5分科会では、1人の発表者が2つの演題を行うという形になった。端的に発表を示すと、前段の発表は「がん患者と医療ソーシャルワーカーの関わり」であり、後段の発表は「尊厳死の倫理」についてであった。
 前段に関しても、人間の死について論じられ、後段は尊厳死という領域から、いずれについても人間の死を深く考えさせられる分科会となった。
 その中で、会場の雰囲気を論じるのであれば、発表者であった宮原和沙会員(医療法人社団天馬会半田中央病院)の発表は、研究目的、研究方法や研究倫理に適切に対応されており、学術性が高かった発表である。それと同時に、会場の参加者も宮原会員の発表に聞き入っていたといったことで、第5文化会場が一体感を持っていたと振り返りたい。特に、後段の発表に関しては「尊厳死」を対象としたことから、座長の独断で大変恐縮であるが、この分科会に参加した全ての人(参加者およびスタッフ)に意見や感想を聞くことができた。なお、この意見交換の際に、結論を導くことはできなかった。
 死という、自らは経験することができても、体験し、状況を報告することができない領域に関して、医療はどのように向き合うのか、福祉および福祉文化としてどのように捉えていけばよいのか、結論が出せない状況であった。おそらく、当該問題に関しては、学術会議といった組織として結論は出せない状況であるし、仮に個人であっても、生と死の問題に関して悟りの境地に達することは、難しい状況といえる。医療や哲学、宗教といった領域を重ね合わせても、本質的な解決は迎えられない。
 学会本部から第5分科会の様子を示すように依頼をされたが、正直なところ、どのようにまとめてよいのかが分からない状況である。今ここで示すことができるのは、「生を受けた以上、目標を持って生きる」ということである。



委員会企画
1.実践と研究の融合
 これまでのこのセッションでは、実践家と研究者がそれぞれのテーマで発表頂き、別々の議論をしてきました。今回は初めて、共通テーマを掲げ実践家と研究者双方の視点から発表してもらい会場全体で議論を進めてみました。
「職員の質」という福祉サービスの根幹となるテーマを「八王子平和の家」の川村氏からは、職員を育てる上での組織のあり方について示唆がありました。石井バークマン氏からは、職員研修の意義やあり方についてスウェーデンでの経験やデータをもとに説明下さいました。お二人の発表と議論から実践に根差した具体的な視点の重みと、データの蓄積の重要さを私達につきつけて頂いたと思います。今後もこのような共通テーマを持ってさらに実践と研究が融合できるよう深めていけたらと思います。

2.福祉文化研究のねらいと方法
 研究委員会よもやまゼミナールで議論されてきた内容について、薗田碩哉顧問より「福祉文化研究のねらいと方法」と題して報告があり、参加者で議論した。
 薗田報告では、福祉文化研究とは「福祉文化の研究」ではなく、「福祉の文化研究」であり、だからこそ「文化」についてきっちりと議論し、他の社会福祉研究と区別する必要があると主張する。そして文化をとらえる4つの見方を説明した。その見方とは①価値志向的な文化②客観志向の文化③芸術文化④カルチュラルスタディーズの4つである。報告では、この4つの分類に基づき、研究誌『福祉文化研究』に掲載された論文等を分析、中でも③芸術文化の視点からみる福祉研究、④カルチュラルスタディーズの視点から見る福祉研究こそが福祉文化学会の研究の方向性であり、他の福祉研究と異なる、学会独自の研究のあり方であると述べられた。
 議論では、4つの分類の関係性についての整理が必要との観点から、4つがどのような構造になっているのか考えた。そしてこの議論を深めることが、福祉文化研究のあり方を明確にし、現在個人に委ねられている福祉文化的視点の枠組みがみられることで、査読における「混乱」が収拾していくものと思われるとの意見が出された。また「文化の担い手は誰なのか?」との問いかけから、福祉領域の当事者や現場で働く人が、「文化的視座」を持つことが大切なことであり、それを妨げる要因について、考えていくことが重要であるとの意見が出された。
 今回の研究討論会での議論をふまえて、今年度の研究誌に論文が掲載される予定である。詳細については、そちらも参考にしていただきたい。また研究委員会主催の「よもやまゼミナール」でも、さらに議論を継続して行うので、興味のある方は参加していただきたい。



体験劇「はるなが池袋にやってきた」
 参加者からいただいた感想は、「素敵だった」「感動した」「圧倒された」というものばかりだった。
 体験劇は、2部構成。1部は、1970年代の障がい当事者の体を張った闘いの映像から始まった。病院併設入所施設の酷い実態、行政・職員への根強い不信感、施設退所と地域生活における苦難が描かれていた。地域生活には自由があり、地域で作り上げたネットワークが広がり、地域で生きることの素晴らしさ、日常を手に入れた時の喜びが描かれていた。
 2部は、このネットワークの中に飛び込んできたはるなさんの自立生活に向けた歩みが描かれていた。学校に馴染めず自主退学した彼女を支える人たちとの交流、重いしょうがいがあっても地域で生きることの大切さ、彼女を支える人たちとの交流、多くの人たちと共に作り上げた体験劇に、参加者たちは酔いしれた。自前の脚本、歌や踊り・パフォーマンス。1時間にわたって繰り広げられ体験劇は、福祉文化そのものであった。
  


パネルディスカッション 暮らしとしての福祉文化を問い直す
 新潟水俣病患者を40年余りにわたって支えている当地出身の旗野秀人さん。20年前に宝塚から丹波へと移り住み、丹波の地域おこしに活躍する能口秀一さん。岩手県・陸前高田の復興計画の一環として、障がい当事者も含めて障がい者福祉計画などの作成支援に当たっている東京住まいの河東田博さん。
 住む地域も活動内容もかかわる人々も異なる3人のお話は、ばらばらなようでいて、「暮らし」を軸に考えてみると、いくつもの共通キーワードが浮かび上がってきました。よそ者の目による暮らしの見つめ直し、大自然から一輪の花までの自然との共生の仕方、次世代へのつなぎ方、自分の立ち位置、人との距離の取り方、場づくり、当事者の声などなど。これらの言葉は、その地域ならではの実践方法が見つかった時、初めて生命が吹き込まれ、その積み重ねが暮らし文化となっていくのではないでしょうか。そこにこそ「生きていてよかった」と言える“豊かな暮らし”が誕生するのだと思えました。




第9回福祉文化実践学会賞を「社会福祉法人泰生会 総合ケアセンター泰生の里」が受賞!

 社会福祉法人泰生会が宇佐市と別府市において運営する総合ケアセンターでは、利用者の出番を作り、地域住民との「共生」を視野に入れた専門性のあるケアと共に、福祉を地域生活文化のあり様と捉え、地域住民を巻き込み、利用者の個を大切にし、夢や希望を紡ぎ、創造性豊かな、地域でのヒューマンな幸せづくりを目指す実践活動を続けてきたことが受賞の理由です。
 理事長の雨宮洋子氏は、「認知症の方を生活の場に戻したいと始めた活動を、このような形で評価していただきとてもうれしい」と喜びを語られました。
尚、学会賞賞金につきましては、全額、当学会にご寄付いただきました。心より御礼申し上げます。

 
 
 
 
  第24回 日本福祉文化学会全国大会東京大会   
  大会テーマ 『暮らしの中の 福祉文化を問い直す』
 日時:2013年9月28日(土)・29日(日)
 会場:立教大学池袋キャンパス(東京都豊島区)
 日本福祉文化学会全国大会は、4年ぶりに東京にて開催されます。
 大会テーマは「暮らしの中の福祉文化を問い直す」。本当の意味で「豊かな暮らし」とは何なのか、そしてそのことから遠ざけられている人たちが 「豊かな暮らし」を取り戻すためにはどうしたらいいのかを考えます。

  ■東京大会開催パンフレット
  ■「福祉文化実践例」の募集
  ■研究発表募集要項 
 
 

 
 
   日本福祉文化学会第23回全国大会を終えて ~実行委員会 土屋英樹~

 日本福祉文化学会第23回全国大会が、9月29・30日に「21世紀の地域の絆と福祉を考える」のテーマのもと倉敷市で開催された。2日間で約200人の参加をいただき、熱心な研究活動が繰り広げられた。
 今回の全国大会の特徴として2点を挙げたい。まずは、倉敷にこだわった企画としたことだ。倉敷は、古き伝統と新しい息吹・文化と産業が交差する町だ。もちろん観光地としての知名度もある。この大会では、倉敷の町並み保存、地場産業としてのジーンズ、当事者がいきいきと輝く地ビール工房、さらには瀬戸内の離島の「しまべん」など開催地の福祉文化活動を紹介した。2点目は、斬新な企画を試みたことだ。「テーマソング」「スタッフTシャツ」「手書き封筒」など過去の大会にとらわれず実行委員自身が楽しめる「小物」を誂えた。結果としてホスピタリティーとオリジナリティーに富んだ大会として評価をいただいた。本当にうれしいことだった。
 大会参加費を1500円としたことも特徴の一つである。その意図は、会費額を抑制し、一般(非会員)の参加を促そうとするものだった。多くの方に大会に参加していただき、あわよくば会員となっていただくことも期待した。しかし会員の方の参加が多い大会でもあったことは、うれしい誤算であった(会員73人、非会員123人)。おかげさまで採算的にも赤字を出さずに決算できて安堵している。
 以上、斬新さばかりを総括として述べたが、河東田会長はじめ役員の方にご指導ご助言をいただいた。とりわけ学会事務局には多大のご心配とご迷惑をかけた。また地元実行委員にもご無理をお願いした。皆々様に感謝申し上げ、倉敷大会のまとめとしたい。
 総会にあわせて、『福祉文化実践学会賞』授賞式がおこなわれ「特定非営利活動法人マイハート・インターナショナル」(代表 熊木正則 氏)が受賞した。
 特定非営利活動法人マイハート・インターナショナルは、様々な障害のある人の美術作品展である「福祉MY HEART展」を1986年から継続して開催している団体である。
 
  23回 日本福祉文化学会全国大会岡山大会   
     
  テーマ 倉敷と福祉文化 -21世紀の地域の絆と福祉を考えるー 」    
  日時:2012年9月29・30日(土・日)
  会場:倉敷芸文館(岡山県倉敷市中央1-18-1)


日本福祉文化学会創設者の一番ケ瀬康子様が 9月5日脳梗塞にて死去されました。
創設者であり、常に私たちのよき指導者であった故人をしのび、岡山大会では黙とうをささげ、哀悼の意を表するコーナーを設ける準備をすすめることにいたしました。 
 
    ■岡山大会案内(PDF形式)
  ■申込書(Word形式
  ■「福祉文化実践例の募集」(PDF形式)
  ■研究発表募集要項(Word形式)
 
      
 

 
【いままでの大会】
2011年度   第22回 日本福祉文化学会全国大会(仙台大会)
2010年度   第21回 日本福祉文化学会全国大会(長崎大会
2009年度   第20回 日本福祉文化学会全国大会(東京大会)
2008年度   第19回 日本福祉文化学会全国大会(京都大会)
2007年度   第18回 日本福祉文化学会全国大会(北海道大会
2006年度   第17回 日本福祉文化学会全国大会(さいたま大会)
2005年度   第16回 日本福祉文化学会全国大会(新潟大会)
2004年度   第15回 日本福祉文化学会全国大会(兵庫大会)
2003年度   第14回 日本福祉文化学会全国大会(埼玉大会
2002年度   第13回 日本福祉文化学会全国大会(静岡大会)


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